すらいむがあらわれた

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国道20号線

酷道」モノかと思って見に行ってしまった。全然違った。
http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=8571
http://www.uplink.co.jp/factory/log/002857.php
以下、ネタバレあり。
物語の舞台は甲府
あるヤンキーのカップル。女はキャバクラ。男はプーでシンナー漬け。パチンコ屋に通い、サラ金のATMでお金を借りたり返したり。
そんな毎日でも女は結婚を夢見ている。男もそれを感じてなんとか仕事をしようと友達づてにバッタもののゴルフクラブを売る仕事を始めるが、売れない。やがてその友達も闇金稼業にいきづまる。
先の見えない日々がつづくなか、ある日男は自宅でシンナー、女は友達の家から貰ってきた覚せい剤を試す。女は覚せい剤の発作を起こして倒れてしまうがシンナー漬けの男は気づかない・・・。


国道20号線は自分の実家から東京に繋がる道路で、自分には広い世界への出口のように感じていた。だから映画を観た直後はこんな暗い描かれ方を心外に思った。


監督が上映後のトークショーで、この映画でパチンコ屋の隣にサラ金のATMがあるような世の中のシステムの問題を訴えたい、システムによってなくなってしまった自分たちの居場所を自力で作って行きたいという内容のことを話していて、ようやく納得がいった。


この映画を広めるために月1回の上映会を1年続け、最初はお客ゼロ、お客1人という状態からだんだんと数十人の観客を集められるようになってきたそうだ。
定期的に続けるという事は効果があるんだな。


トークショーでは釜ヶ崎の暴動のビデオも流されて、そのドキュメンタリービデオを取った関西のクルーも来ていた。
国道20号線の監督は「日本でこんなことがあったんですよ!皆さん知ってました!?これが報道されないなんて」などと言っていたが、関西に住んでいたことのある私には釜ヶ崎暴動はそれほどめずらしく感じるものではなく、昔からある労働者と警察の対立で、そこに全国ニュースで報道して事を荒立てる必要はないように感じられた。
それだったら東京でおこっている派遣や契約労働者のデモ運動を報道することの方が、ここ10年くらいで移り変わってきた労働形態の問題を世間の人々に知らせる意味があると思う。


釜ヶ崎ドキュメンタリーのクルーによると、関西はプレカリアート運動が流行らないのだそうだ。釜ヶ崎、在日、部落など運動が分断しているかららしい。