リクルートという奇跡
お正月の帰省の行き帰りの電車の中で読みました。
- 作者: 藤原和博
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/09/02
- メディア: 文庫
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それと、リクルートとライブドアはやっぱり良く似てると思った。エスタブリッシュメントたちの江副氏への扱いなど。
藤原氏個人とリクルートが失敗した仕事が書いてあって、参考になりそうだった。
■藤原氏が失敗した仕事
・「センサー」
総合化の罠。
リクルートの持っている学生の名簿を利用して、学生の生活を取り巻く商品全てを網羅した生活情報カタログを作り通販雑誌としてDMする。学生版の「通販生活」のようなもの。2〜3回無料誌を出したがお客がついてこなかった。
・「テクノグラフ」
理想主義先行。
技術系の学生に日本の会社の先端技術をもっとビジュアル満載のわかりやすい形で届けたい。
1社数百〜千万円単位になる広告を継続して取ることは難しく2年目に売り上げ1億円を切ってしまったところで廃刊。
・「スチューデントフォーラム」
「べき論」先行。
文化人と企業人をカップリングして学生向けの10日間連続セミナーを行ったが、集客が散々だった。
■リクルートが失敗した仕事
以下のような特徴のある事業は苦手
(1)在庫の発生する事業
(2)低マージンの事業
(3)価格競争になってしまう事業
(4)継続的な高度な研究が必須の事業
・教材販売
1968年から企業向けにカセット教材を販売。4年で撤退。
・書籍出版事業
企業ものシリーズ「リクルート新書」。巨大な在庫を残して撤退。
・ゲーム事業、映画事業、音楽事業
90年代末、メディアファクトリーへの過剰出資
・不動産業
85年前後から開始。1兆5000億円という負債を残して、92年ダイエーグループ傘下入り。
・大学新聞への広告代理業
「リクルートブック」などの自社媒体が登場して、代理店マージン(利幅)の魅力が減少。1972年頃撤退。
・名簿を使ったセールスプロモーション事業
「リクルートブック」を届けるために収集した大学生の名簿を使ってリクルートスーツや家電、化粧品などのセールスプロモーションのお手伝いをする事業。手間がかかるわりに利幅が薄く、1980年頃撤退。
・宅配事業
「リクルートブック」の配送網を有効利用して物流業をやろうとしたが、インフラ未整備で価格競争に耐えられなかった。事業化から3年後、1985年に撤退。
・マップデータ事業
リクルートと日本経済新聞社の合弁事業として1985年にスタート。東京ガスやNTTの技術も導入して多層化地図データベースの商用化を狙おうとしたものの、研究不十分なまま1987年に撤退。このあと研究開発系の仕事からはことごとく撤退。
・通信事業
NTTの規制のため第2種事業者間で価格競争になってしまい商売にならなかった。
第1種になりたかったがリクルート事件でそれどころではなくなってしまった。