精神病者を支える為に、まず精神病者の周りにいる人を支えるのが大事
8月末にこんなニュースがありました。
宇多田ヒカル、母・藤圭子さんの訃報にコメント 心境と真実を明かす
http://mdpr.jp/news/detail/1272333
（記事の後半に宇多田ヒカルのコメント全文あり）
宇多田ヒカルさんの発言でメディアが考えるべき「精神の病」の問題
http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20130831-00027729/
下のほうの記事は精神病者を抱える家族の苦悩を訴えており、7500以上のツイート、750以上のブックマークをという注目を集めている。ただ、この記事は「メディアが考えるべき」という内容なのですが、実際は私たち自身が考えるべき問題です。
今の風潮では精神病者側の理解を訴える傾向が強すぎます。精神病者を身近に抱える家族、職場の同僚、近所の人々への理解が足りなさすぎるのです。
たとえば、あなたがある会社に就職した、引っ越して新しい場所に住みはじめた、結婚して相手方の家族と親類になったという場合、あたらしい人間関係ができます。自分がいままで面識がなかった人と知り合いになり、そしてその人が精神病者だった、ということが起こりえます。
そして、あなたが精神病者とトラブルになってしまい周囲の人に助けを求めると、こんな返事が返ってきがち。
「あの人はたいへんで、苦しんでいるのだから理解してあげてください」
「あの人を受け入れてあげてください」
「あの人を差別しないで」
精神病者側をサポートする意見ばかりが寄せられ、あなたの苦労や悩みに配慮しようとする人がとても少ない事に気づいてびっくりすることでしょう。
ネット上は頻繁に精神病に理解を求める言説が流れています。
そして精神病の人は多弁です。ネットでリアルで、いかに自分が病に苦しんでいるか、周りとの人間関係に苦しんでいるか語り続けます。
精神病の人も常におかしな言動をしているわけではありません。何かのきっかけで病気があらわれ、家族、職場の同僚、近所の人々を攻撃しはじめます。罵倒、誹謗中傷、事実でない噂の流布…。
巻き込まれてしまったあなたは当惑するのですが、そんな間に精神病者の言った事を信じた人があなたを非難しはじめます。「○○さんにあんなことをするなんて、ひどい！」
あなたが相手が精神病であることを周囲に説明すると「○○さんは病気なのだから、反論したら病気が悪くなって、自殺してしまうかもしれない」といわれ、あなたは精神病者に訂正や謝罪をもとめることもままなりません。
精神病者への対応についてネットで調べてみると、
・病院に入院させる
・警察に相談
・縁を切る
などがすぐヒットしてしまいます。
ですが、あなたと精神病の人の間には家族、職場、近所など、簡単には切るわけには行かない関係性があるのでこういう対応はとれなかったり、とりたくなかったりします。
まずは穏便におさめようとあれこれ努力するものの、周囲の人たちが精神病者の言動によって混乱していておさまらず、あなた側の人間関係や生活も壊されていき、次第にあなたは力尽きていきます。
そうしてあなたは精神病者と縁を切らざるを得なくなります。その精神病者と関わりがあった他の人たちも同様な経緯で縁を切っていきます。
この結果、精神病者は職を失い、住む所を失い、家族からも見放されるという誰も望んでいなかった結末に至ります。
長くなりましたが、私が一番言いたい事はこれです。
精神病者と周囲が揉めていても、すぐ精神病者側の味方をせず、周囲の人の気持ちもサポートしてあげてください。
精神病者を社会とつなぎ止めていられるのは実際に彼らとかかわり合っている家族、職場の人々、近所の人々なのですから。
【補足】
長く書きすぎるのはよくないと思ってはしょってしまったのだけど、
精神疾患*1の人とかかわることになった人たちにどういうサポートをしたらいいのかについて私の意見を書くべきでした。
まずは「たいへんですね」とねぎらい「事情は察しますので安心して対応してくださいね」と声をかけてくれればそれだけで気が楽になります。精神疾患の人の言動が周囲にどう影響しているか分からず不安になっているのですから、その不安を和らげることが大事です。
そして何よりも「精神疾患は脳の病気で、言動は病気のせいなのだから…」という解説をする『にわか精神科医』にならないでください。代わりに彼らが相談する事ができる精神科医やカウンセラーを紹介してあげてください。
当時者同士の関係は第三者には理解が難しく、詳しく話す事もできない事情が含まれます。干渉したり、憶測で噂を広めたりせず、当事者間で問題がおさまるのを見守ってあげてください。
