すらいむがあらわれた

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個人的メモ 司書資格について

私は図書館司書の資格を持っています。
先日会社の人との雑談していたら、「司書って何をするのか」「司書資格をもっているとどんな技術の証明になるのか」「司書資格とはどういう制度なのか」などあれやこれや聞かれて、適当に答えていたのですが、適当が過ぎて「司書資格は免許だ」とかかなり怪しいことを断言してしまったので、今更調べてみました。


司書について(文部科学省ホームページ)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/gakugei/shisyo/
この文科省のページがよくまとまってます。

図書館法によるとまず「司書」とは、

(司書及び司書補)
第 四条 図書館に置かれる専門的職員を司書及び司書補と称する。
2  司書は、図書館の専門的事務に従事する。
3   司書補は、司書の職務を助ける。

 
私は会社の人に「司書とはどんな仕事をするのか」と聞かれて「図書館の仕事全般」と答えたのですが、法律では「専門的事務」ということになってますね。実際は事務というより肉体労働が多いように思うのですが。

で、図書館の仕事というのはどんなものなのかというと

(図書館奉仕)
第 三条 図書館は、図書館奉仕のため、土地の事情及び一般公衆の希望にそい、更に学校教育を援助し得るように留意し、おおむね左の各号に掲げる事項の実施に努めなければならない。
一  郷土資料、地方行政資料、美術品、レコード、フイルムの収集にも十分留意して、図書、記録、視覚聴覚教育の資料その他必要な資料(以下「図書館資料」という。)を収集し、一般公衆の利用に供すること。
二  図書館資料の分類排列を適切にし、及びその目録を整備すること。
三  図書館の職員が図書館資料について十分な知識を持ち、その利用のための相談に応ずるようにすること。
四  他の図書館、国立国会図書館地方公共団体の議会に附置する図書室及び学校に附属する図書館又は図書室と緊密に連絡し、協力し、図書館資料の相互貸借を行うこと。
五  分館、閲覧所、配本所等を設置し、及び自動車文庫、貸出文庫の巡回を行うこと。
六  読書会、研究会、鑑賞会、映写会、資料展示会等を主催し、及びその奨励を行うこと。
七  時事に関する情報及び参考資料を紹介し、及び提供すること。
八  学校、博物館、公民館、研究所等と緊密に連絡し、協力すること。

会社の人に「具体的には何をするのか」と聞かれて「図書館の本を整理したり、移動図書館で町中をまわったり、読み聞かせしたり…まあいろいろ」と答えたのですが、だいたい合ってると思います。

さて、「司書の資格」とは、

(司書及び司書補の資格)
第 五条 左の各号の一に該当する者は、司書となる資格を有する。
一  大学又は高等専門学校を卒業した者で第六条の規定による司書の講習を修了したもの
二  大学を卒業した者で大学において図書館に関する科目を履修したもの
三  三年以上司書補(国立国会図書館又は大学若しくは高等専門学校の附属図書館の職員で司書補に相当するものを含む。)として勤務した経験を有する者で第六条の規定による司書の講習を修了したもの
2  次の各号のいずれかに該当する者は、司書補となる資格を有する。
一  司書の資格を有する者
二  高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者又は高等専門学校第三学年を修了した者で第六条の規定による司書補の講習を修了したもの

えー「資格」でした。免許じゃありません。間違ってました(_ _;
中等教育学校」って何だろうと思いましたが、中高一貫の学校なんですね。いつの間にかそういう学校ができてたんですね。
ウィキペディア 中等教育学校
http://ja.wikipedia.org/wiki/中等教育学校
つまり高卒あるいは高卒相当以上の学歴がある人が、講習や大学の授業を受けて司書の資格を得ることができます。

「図書館で働いている人はみんな司書なのか?」とも聞かれてこれまた適当に答えていたのですが、
これも文科省のページによると、

5.よくある質問

1) 司書の資格を有していますが必ず公共図書館に就職できるのでしょうか?
→ 司書として活躍するためには、司書になるための資格を有している方で、都道府県・市町村教育委員会から「司書」として発令されることでその職務につくことができます。なお、採用方法等については、都道府県又は市町村教育委員会に直接お問い合わせ願います。

都道府県・市町村教育委員会から「司書」の発令を受けた人が「司書」であるということのようです。だから司書資格をもっているだけでは「司書」ではないし、「司書」の発令をしない都道府県・市町村の図書館員は「司書」ではないわけですね…。

それでその会社の人と話していたら「司書資格とか言っているけど、なんだそれ。実態が全然ないじゃないか」みたいな感じであれこれ問いつめられたんですが、まあそのとおりで、私は、司書の仕事というのは今ではかなり形骸化してしまっていると思っています。
かつての司書の仕事の中心は多分これだったのだと思います。

二  図書館資料の分類排列を適切にし、及びその目録を整備すること。

図書の分類、目録作成は専門知識がないとできない仕事だったのですが、今では図書館専門のデータベース会社があり、そこが図書の分類、目録データベースの提供、図書の装備(分類番号のついたシールをつけたり、ビニールコーティングしたり)、納入まで一手に引き受けています。今や公共図書館都道府県・市町村の図書館)で自前で分類や目録作成をしているところは余り多くないでしょう。
そうなると、司書の仕事は他の事務職員でも代替が聴くようになってしまい、専門職として「司書」を置く必要がなくなります。さらに公務員ですらなく派遣社員が図書館業務をする傾向になりつつあります。さっき挙げた図書館用目録データベース会社は図書館職員の派遣もやっています。
その一方で大学図書館などでは学術研究のための資料の分類など、目録データベース会社を利用できない、専門的な仕事がいまだにあります。しかし学術資料の分類となると、今度は司書資格程度の知識だけではとてもあつかえず、その分野の学者・研究者なみの知識が求められます。
そういうわけで、現在の図書館員の仕事は派遣事務員か専門研究者という両極端に分かれつつあるという感じです。
ほかのいろんな仕事と同じですね。


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われわれの館
http://www5b.biglobe.ne.jp/~wir/
私も数年前は一生懸命チェックしてました。